私を、誰かを褒めたいという美学。
誰もを幸せにする価値観から生まれた工芸品。
その昔、主君のために職人は研鑽を重ね豊かな工芸品を作り上げました。 それを褒美としていただく民は、最大限の労いと捉え家宝として名誉として大切にしました。
現代の日本は大量生産によって生活に効率のよい製品で溢れています。言わば「用の美」。 ただその中にも自分を心を潤すための、誰かの暮らしを明るくするための「褒の美」という価値観があります。 それは心の動き、暮らしのアクセント。手にした誰もが幸せになることを願い、匠宿クラフトバレーから生まれた工芸品が「hounobi」です。

泰平の世、富士山の眺望。
限りなく喜ばしい静岡の地に根付く工芸でそれを伝えはじめます。
徳川家康の天下統一、泰平を迎えた世の中。東海道で西へ東へ。希望と活気に満ち溢れた時代に富士山を望むことができた美しい駿河の国。工芸によってもたらされる日々の暮らしのアクセントとして、誰かの心を弾ませるギフトとして、かつて工芸の礎を築いた静岡から、褒の美を、喜びを伝えていきます。

駿河竹千筋細工
千空 sen-kuu




「駿河竹千筋細工」は、一本一本が細く丸く削られた竹ひごを組み上げる、熟練の技が光る伝統的工芸品です。軽やかで繊細な竹ひごが連なる形状は、空気を包むような優雅さを持ち、これまで花器や虫かご、菓子器など「入れもの」として親しまれてきました。本作では、駿河竹千筋細工を「入れもの」から光の入れもの「ランプスタンド」へと変容をこころみました。空の入れものには、見えない光源から竹ひごに反射した美しい「光溜まり」が現れます。空間に光と影の対比による放射状の柔らかな光が放たれ、静かな温もりを醸し出します。軽量で扱いやすく優しい肌触り、伝統技法を活かした、現代のライフスタイルと調和する工芸品です。


リネア Lineā




江戸時代から受け継がれる「駿河竹千筋細工」の新しいカタチ。職人がひとつひとつ丁寧に竹を曲げ、その美しさを最大限に引き出しました。竹を内側に曲げる高度な技術である「裏曲げ」を用いて、繊細でしなやかな曲線を生み出しています。柔らかな竹フレームと硬く滑らかなセラミックの対比が、軽やかさと存在感を兼ね備え、空間を美しく彩ります。設置する場所により空間の趣を引き立てる一輪挿しタイプと、プレートにエッセンシャルオイルを染み込ませて香りを楽しむアロマディフューザーの二種類をご用意し、様々なシーンでお使いいただけます。


イレギュラー “Irregular” flower vase


静岡市の伝統工芸・駿河竹千筋細工は竹の輪と丸ひごで構成され、竹の輪に空けた穴に細い丸ひごを挿すことで輪郭をつくる繊細な工芸品。その規則性を一部崩すことで、新しい自由度とさらなる軽やかさを迎え入れられるのではないかとデザインをしました。 形の規則性を作っている竹の輪を途中でカットしたようなデザインにすることで、完成した花瓶は壁に寄り添ったり、打ちつけたりと、壁とより緊密な関係を築くことができます。また繊細な影を落とす先に「壁が」あることから、今までの竹千筋細工とはまた少し違う用途や見え方になることを期待しています。


セントエン SEN to EN




竹の線の連なりを愉しむ道具です。駿河竹千筋細工を見た時、しなやかな竹の連なりが印象的でした。繊細で軽やかな「線」の連なりに美しさを感じたことをきっかけに、道具としての「もの」から考えるのではなく、「線」をどう魅せるか?を大事にデザインを進めました。竹の「線」が持つ「しなやかさ」と「かろやかさ」をキーワードに進めていくうちに、線の連なりを動かせたら楽しいと思い、線を動かしていろんな線の連なりを愉しめるものを考えました。
開いたり閉じたり、覗いたり、つまんだり…いろんな感覚で「線」を愉しんで欲しいと思っています。

